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コロナ期 動物話9 気まずい一人と一匹

気まずい一人と一匹

ゴミ出しをしてから、郵便局の先の広場を
一周して帰ってくるのが、その頃の犬の散歩コースでした。

その日は道路に出る手前の庭の大きな椿の木の下で
犬はウンチをしながら、お尻を揺らし横倒しに倒れました。

慌てて抱きかかえ、家に戻り犬小屋に入れます。
頭だけ小屋の外に出したまま犬を置き、妻を呼びます。

妻は驚いて飛び出してきて、枕代わりの毛布を犬の頭の下に入れ
犬を摩り始めました。

パジャマ姿の妻は泡を吐いている犬を見ながら
大きな声で、いつも可愛がってくれている、隣のおばさんを呼んでいます。

母も娘も出てきて、額を撫でたり、お腹を摩ったりしています。

「もう、だめかなぁ、歳だし、昨日は寒かったからね〜」と私。
「ほら、体温が下がってるよ。体も固くなってきている」
妻は目に涙をため、犬を撫で続けています。

母は「しょうがないかあ」と腕組みをし、娘は犬の鼻を触っています。

隣のおばさんはいつも犬におやつをくれるので
この頃、犬は隣ばかり見ています。
隣のおばさんと犬は密接な関係なのです。

妻はおばさんに
「最期なんで、撫でてあげてください!」
と必死にうったえています。
でも、おばさんは撫でません。遠慮している様でもありません。

犬の呼吸は荒くなり、時々吐きあげます。

「ほら、目が白濁してるよ〜!」と妻
「歳だからね。でも、ずっと前からそうだよ」と思う私。
妻のテンションの高さに「少し違うかも?」という疑念が皆湧いてきていました。

妻はなお、おばさんに撫でるようにと促しています。
おばさんはそれでも撫でません。

しばらくして犬の呼吸は落ち着いてきたので、
みんな、なんとなく「様子を見ようか」ということになりました。

2、30分して、隣のおばさんが声をかけてきました。

「見て、見て!」
「ほら、ハナちゃん、おやつ食べたよ〜!」

妻は犬小屋にかけ寄り「よかったね〜!」と言いながら
ハナの首に腕をまわしています。

でも、なんとなく気まずそうです。
ハナも申し訳なさそうに、うなだれています。
「助かっちゃってゴメン」みたいな目で妻を見ています。

「あらあ!ハナちゃん、ウンチもらしてる!」と隣のおばさん。
犬小屋の奥にはウンチが一つ落ちていました。

なんとなく残念な感じの、一人と一匹ですが、
私は、誰も悪くないんだ!と思いました。

はなぺろ


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コロナ期動物話8 モモ、ハナ

モモ、ハナ

モモとハナは姉妹で小さいモモがお姉さんで大きいハナが妹でした。
私が山で拾って来ました。営業車で走っている途中に。
モモの方が小さいのに威張っていて、ゴハンを食べるのも、おやつをもらうのもモモが先でした。
ハナが先に食べようとするとモモが「うう〜」と唸ります。するとハナは「ああ、ごめん」とさがります。
モモはしっかり者ですが、少しずるいところもあって、怒られそうになると
お腹を見せて仰向けになり、「キュイーン、キュイーン」と周りの人に助けを求めます。
それをとなりで見ているハナは「何してるの?」とポカンと見ていました。
たまに、「ハナ、おまえはモモより体が大きいんだから、強いんだよ、モモに負けちゃだめだよ」
と、励ますのですが「強くなるってなんですか?」と言う顔をしていました。
モモは知らない人が来ると吠えるのですが、ハナは吠えません。
モモに促され、「ああ、ここ吠えるんですね」というていどです。
だから、猫も鳥もハナの背中やお腹に乗っていました。
みんなハナが好きでしたが、それもモモがしっかりしていたおかげで、
ハナはのんびりしていられたのでは、と思います。

犬は大きくなると一緒の小屋にいない、という話を聞いたので、別々にしてみましたが、
二匹とも「寂しい、寂しい」と夜通し鳴くので、最後まで一つの小屋で過ごしました。

ある夏の終わりにモモは亡くなりました。その夏はとても暑く、
モモの食欲はほとんど、ありませんでした。
ハナは心配してモモの体に鼻をつけて、いつもクンクンしていました。

モモが亡くなって、しばらくハナは泣いていました。たまに「お〜ん、お〜ん」鳴くのでです。
そして、その年の暮れ頃からハナも元気がなくなり始め
散歩も近くですませるようになっていました。
ハナもずいぶん弱ってきていました。

続きは次の「気まずい一人と一匹」に。

ももとはな

コロナ期動物話7 「マル」

「マル」

蒸し暑い夏の夜のことでした。
いつものように会社帰りにコンビニで、
娘のためにネコのおまけのついたチョコエッグを買い
家の近くの駅の踏切まできました。

月は青白く駅前の商店街に、ひと気はありません。
以前は二十軒以上並んでいた、この町唯一の商店街は、
もうその頃から閑散として、抜けた歯のように点々と
残っている靴屋、呉服屋、自転車屋、魚屋も酒屋も、
少年時代の郷愁しか感じられないものになっていました。

駅を利用して通学する、自転車置き場の店のシャッターの
一部だけが開いていて、そこから灯りが漏れています。
店の中では、エプロンをかけたおばさんが欠伸を手でおさえ
時計を気にしながら、閉店の準備をしています。

踏切で一時停止しながら左に目をやると、
線路沿いの路側帯わきの芝生にマルが立っています。
月に照らされ黒い毛が魚の鱗のように光って見えます。
赤い首輪は着けていません。
きっと首輪がはずれ逃げ出してきたのでしょう。

マルは我が家の黒犬、胸に白い星模様のある雑種の中型犬です。
姉犬、秋田犬カールの脚の間に入って歩くこともある
ちょっととぼけた、でも大人しく、あまり器量良しではないメス犬です。

私は道の端に車を止め
「マル、何やってるの、ほら、おいで」
と、刺激しないように、膝を折って優しく呼びます。
マルは首をうなだれ、申し訳なさそうに近づいてきました。

首をつかみ、助手席の足を置くところに乗せました。
「まったく、ふらふら歩いちゃだめだよ〜車にひかれちゃうよ。
おまえは黒くて目立たないんだから〜」
マルはだまって助手席にアゴをのせていました。

赤信号で止まり右に見える新聞店は暗く沈み、左折すると
金物屋の看板の電気が点いています。
消し忘れたのだろうか。

マルは顎を座席に乗せたまま、私の方を見ています。
「首輪、取れちゃったんだ〜」と私。
すぐに家です。

家に着き、暗がりの中マルの首を押さえ犬小屋まで連れて行くと
小屋の中にマルがいます。赤い首輪をつけ、赤い舌をヘロヘロさせています。

「おまえはだれだあ?」と私が首を押さえている犬を見ると
「えへへ!」みたいな顔で私を見上げます。

急いで元の場所、踏切沿いの路側帯の芝生まで返してきました。

この黒犬が悪いかのように聞こえるかもしれませんが、
失敗したのは私の方で
向こうもきっと「おまえはだれだあ?」思っていたに違いありません。

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コロナ期動物話6猫物語3

この時期 豆売りやっていて本当によかったと思います。
ありがとうございます😂
こんなに時間をもらえることもないので、大切に使おうと思います。
今はみんな大変でしょうけど、後でみんなで盛り返しましょうね。

ステイホームの役に立てれば、と思い頑張って焙煎します。
マンデリン コロンビア 中国 パプアニューギニア モカ少しずつ残ってます。
無くなりしだい終了です。


マリオ 真理尾 mario

その時、あなたは猫の女の子でした。

トラコの娘で、新婚の私たちと一緒に東京で暮らしていました。
大家さんには内緒で。

子どもがいない私たちは「ネコムスメ」と呼んでいました。

手のひらに乗るくらいの大きさのころから
妻がスポイトでミルクをあげて大きくしました。

ムスメなのでいつも一緒にいました。
旅行もしたし、食事の時もお昼寝も、お風呂も一緒に入りました。

夜、寝るときはいつも妻の胸の上で。
たまに逆さまになって、オナラをひっかけられることもありました。

ギターを弾くといつも一番前のお客様で、エレクトーンもよく聴いてくれました。

ごませんべいが好きで、かくれんぼもするし、近くのコンビニには、
塀の上をつたって一緒についてきていました。

夏のころ彼氏ができて、よく迎えにきていました。
テラスの下で「ニャン」と呼ぶので、サッシを少し開けてあげると、
数時間遊んで、ちゃんと彼氏が送ってきていました。
サッシを閉めても、彼氏はしばらく立てかけたスダレの陰で
じっと見送っていました。

夏の終わりに子猫が産まれました。

ダンボール箱に入れて、夜中じゅう妻がお腹をさすっていました。
居眠りをして手が止まると、箱から出てきて、
さするようにと、手をかじっていました。

産まれた子猫は一匹を残して貰われていきました。
残った子猫は白猫で「たまご」と名前をつけました。

マリオは他の子がいなくなってしまったので、たまごを溺愛していました。
二階の押入れの隅に連れていって、毛が抜けるまで舐めていました。

少し大きくなっても無理矢理に咥えて、二階に上がるものですから、
階段を昇るたびゴツゴツとたまごをぶつける音をさせていました。

ある日、二階の押入れの様子を見に行くと、たまごは動かなくなっていました。

マリオは何日も「あお〜ん、あお〜ん」と鳴き続けました。
そして、外に出たっきり、帰って来なくなってしまいました。

その後、妻は何日も何カ月も探し続け泣き続けました。

それから何年かして人間の娘が産まれました。
白くてぽやぽやした女の子です。

ごませんべいが好きで
たまに「マリオ」と呼ぶと「ニャン」と返事を返します。

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コロナ期動物話5 猫物語2 猫の家族

思春期に入ると家猫のことなど忘れてしまい、自分自身が野良猫になっていました。
だから家に猫がいただろうか、いなかったのか?上手く思い出せません。
二十代の前半、結婚少し前からたまに家に帰っていたころいた猫は、
クロベ、トラコ、マーマ、ター。本名は黒、虎、松、竹。
あまりにも安直なネーミングは模様だけでは、たぶんだぶりが出てしまうため
めでたい名前でも付けとけ、という私の母親の絶妙?なセンスの賜物です。

クロベが父親でトラコが母親、マーマが娘でターが息子。
トラコは賢くてクロベに「あの、おかずをお膳の上から盗ってきなさい」
と命令して、クロベが人間に見つかるとトラコは「私何も知りません」という顔でいましたが、
上手く盗めると、いつもトラコが食べ、それをクロベは、そばで黙って見ていました。

クロベとトラコの間に虎模様の息子と真っ黒な毛の娘が生まれました。
トラコは子どもよりも自分が大切なタイプで、おっぱいを飲ませていてもお腹が空くと
「ゴハンちょうだい、私が先だ!」みんなを押し退けて食べていました。
クロベは子どもたちが大好きで、よく舐めていました。
なかでもマーマのことはお気に入りで、いつも抱えて舐めていました。
外で物音がするとクロベはすぐに飛び出し子どもたちを守ります。
これが常態化していました。

二年ぐらい経った頃でしょうか。トラコは仔猫マリオを産みました。
トラコはマリオの面倒を見ないので妻が母親がわりに育てることになりました。
トラコは疲れていたのでしょう。
しばらくして玄関のタタキで血を吐いて死んでいました。
「きっと毒を飲まされたんだ」と家族で話しました。
その頃、ターは家を出ていって、忘れたころに帰ってくるような生活になっていました。
依然、クロベはマーマを抱えて舐めていました。

ある日、クロベは片目を落として帰って来ました。
きっと車にはねられたのでしょう。
家の後ろの道路はダンプカーがたくさん走るようになっていましたから。
もう片方の目も白濁していましたが、その目も徐々に視力が無くなり、
しばらくすると両目とも見えなくなりました。

その頃近所にはたくさんの猫がいました。
完全に失明しているクロベでしたが、外で猫の声がすると、
襖やガラス戸に、ぶつかりながら飛び出して行きます。
盲目のクロベは筋肉が盛り上がり狸のように大きくなっていました。

妻が初めて我が家を訪れた時、廊下の奥に黒い狸の置物があって
変な家だなぁ、近づいても動かないので、よくよく顔を近づけたら
猫だったのでびっくりした。と言っていました。

そのころは外から帰ってきたクロベをマーマがよく舐めていました。

そして、クロベもある日から帰って来なくなりました。

それから、弱っぴーのマーマが少しずつ強くなって行きます。
たまに私たちが連れ帰るマリオを守るためでしょう。
外で猫の声がすると唸るようになり威嚇していました。
そしてマーマはよくマリオと遊んであげていました。
とても可愛がっていたのです。

マリオがいなくなった後もマーマは父親似の優しい猫でした。
新しくやってきた猫たち、ピリカ、ボーズ、ノン、ロク みんなよくめんどうをみました。
でも歳をとりカリカリが食べられなくなってマーマ専用の缶詰をあげていると
それを子猫たちが先に食べちゃうので
歯の抜けた口で小さい猫たちの頭を、後ろからよくかじっていました。
子猫たちは、御構い無しで食べ続けて、頭がベトベトでした。

娘が生まれたのも、その頃です。
娘のことも舐めていました。
そんなマーマの最期はコタツの中で眠るように硬くなっていました。
黒い毛に白髪が混じりカサカサのボサボサでした。
残った猫たちはその日、みんな静かでした。

どんな猫も小さい猫が家にやってくると、その猫を守ろうと強くなります。
時には満身創痍、闘うこともあります。
本能でしょうか。
人間も見習わなくては、と思うことしばしです。

ネコクッション